以前もこのカテゴリーで紹介したのですが、山下康代さん著『トビラノムコウ』を遅ればせながら読み終えたので感想をUPしたいと思います。

トビラノムコウ
トビラノムコウ山下 康代

マキノ出版 2006-03-14
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~あらすじ~

長い間、深い海の底へ閉ざされていた記憶が今、ここによみがえる。

緘黙、いじめ、喘息、自閉、登校拒否、高校中退、引きこもり、セックス依存、リストカット、 自殺未遂、 精神科病棟…。
「吃音(どもり)」という十字架に囚われた「私」がホントウに欲しかったものとは、いったい何なのか? 未完成のパズルを一冊の本にまとめ上げた時、「私」はようやくトビラノムコウへの第一歩を踏み出す。

(著者のHPより、本の紹介文を引用しました)


この本の著者は、私のブログ仲間でもありますので、本を出版される前から(どんな本に仕上がるのだろう)と楽しみにしていたこともあり、ドキドキしながら読ませていただきました。

私がこの本を読んで思ったのは、吃音や喘息、登校拒否など、そういったことを経験した当事者が、当事者側からの立場でここまで鮮明に書き下ろしている本は、おそらく類がないんじゃないかと思います。

”言葉が声に乗らない”という表現、大事なことを言おうとすると余計に吃ってしまうこと、”ワカラナインジャナクテ コトバガデテコナイ”という事実、吃音や緘黙の経験者なら、「そうそう!そうなんだよね!」と絶対頷いてしまうと思います。

そういった文章の表現力も含め、自分と関わってきた人達のことを自分なりに観察・分析しながらやり過ごしている洞察力っていうのかな、吃音や緘黙の人の特徴が上手く表現されているなって思います。

著者は吃音のことを「自分の十字架」だと表現していますが、吃音と著者が常に背中合わせで存在し、今までの人生に吃音というモノが膨大な影響を与えてきたことはこの本を読んでみても明らかであり、”十字架”という表現はまさにぴったりだと私も思いました。

私自身も吃音・緘黙などの経験があるので・・・読んでいるうちにいろんなところで気持ちがリンクしてしまい、正直、私にとっては泣ける作品でもありました。高校に退学届けを提出するシーンとかもろもろ私自身には中退の経験はないのだけど、そうなるまでの過程だとか諸々・・・その他にも色々泣けましたが、割愛させていただきます。

吃音などの体験談を読んでいるというより、著者の人生そのものを感じる素敵な一冊に仕上がっていると思います。ノンフィクションなのにフィクションの小説を読んでいるような感覚で読ませていただきました。吃音などの経験がない方でも、言葉が出ない、出にくい、そういう生き方をしている人の気持ちを理解するには打って付けの1冊だと思います。是非、専門家の人達にも読んでいただきたいなって思います。



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