これは、最初に就職した会社を辞め、転職先で発症した電話恐怖症の体験談です。私にとっては2回目の電話恐怖症体験になります。

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私は最初に就職した会社を約3年で辞めることになりました。電話恐怖症はかなり緩和していて、仕事も自分に向いていると感じていたのですが、女性が大半を占める職場だったこともあってか、どろどろした人間関係に疲れ、退職に至ったのでした。(このことは、機会があれば後日書きたいと思います)

新しい転職先は、社員数30名ほどの中小企業でした。そのうち女子社員は私を含め3人。それも私以外の女子社員2人は専門のオペレーターとして従事しており、私とは別の立場でした。男性社員は外出することが多い会社でした。以前私の立場で働いていた人は、いつも率先して電話の応対をこなしていたらしく、その流れからいって、私が電話を取って当然みたいな空気はあったように思います。私も前に電話恐怖症を経験してから月日が経っていたし、以前の電話に対する恐怖心を払拭する意味も含めて、積極的に電話に出るようにしていました。ドキドキしながらも入社4日目で電話の応対をやり始めました。

会社にかかってくる電話は1日に約30~50本なのですが、平均すると10~20分に1回は電話の応対に追われることになります。その度に私の仕事は中断、外出先の担当者がつかまるまで携帯電話やポケベルで連絡を取りまくり、来訪者がいれば受付、接客もこなさなければならないという感じで、入社から数ヶ月はとにかく会社になれるまでは大変なんだと思い、じゃんじゃん電話もこなしていました。

それから数カ月が経ち、会社にも仕事にも慣れてきて、周りの人達の様子にも目が届くようになってきました。すると、どうでしょう。電話が鳴っているにもかかわらず、楽しそうに無駄話をしている社員の姿を何度も見かけるようになりました。「同じように仕事をしているのに、なんで私だけが電話を取らなきゃならないの?」そう思い始めたある日、いつものように電話応対をしている中、突然、「お待ち下さい」という言葉が言えなくなってしまいました。「少々」まではすんなり言えるのですが、その後を続けることが出来ないのです。「なんで言えないんだろう?」とものすごく動揺しました。

その後も電話で言葉に詰まることが続き、そのうち電話が鳴る度に「また言えないかもしれない」と動悸がするようになりました。気にすれば気にするほどだんだんと症状は悪化してきて、そのうち、「お待ち下さい」と同じ、最初に”お”の付く言葉が出にくくなってしまいました。「”お”世話になっております」「「”お”先に失礼します」などなど。。気が付けば、電話応対の時に限らず、普段の日常会話でも「お」という言葉が言えなくなっていました。それでもいろいろと言い回しを替えてみたり、なんとか自分なりに電話応対をこなしていました。

こんな状態が続き、入社1年半経ったある日、電話を受けての第一声となる自社名が言えなくなってしまったのです。受話器は取り上げてみたものの、口がパクパク動くだけで声が出てきません。「もうだめだ、電話は取れない・・・」そう思い、私は電話を取ることを突然止めたのでした。ここまで症状がひどくなっては私自身の問題だけでは済まなくなる、電話をかけてきた取引先へ対する会社の印象が悪くなるのではと思ったのです。私が突然電話を取らなくなったことに気付いた女子社員達は、それからやっと電話を取ってくれるようになったのでした。

入社1年半でこういう状態にまで陥ってから、その後約4年半もの間、私が出産の為に会社を辞めるまでこの症状は続いたのでした。その間、自分から電話をかけることさえ恐怖の対象となっていました。女子社員が席を外していたりして、どうしても私が電話を取らなければならないことも数回あったのですが、やはり声が出るわけでもなく、受話器を取り上げてから無言だったりしたこともあって、電話をかけてきた取引先から会社の担当者へ苦情が出たこともあったようです。

今思えば、本当に辛い日々でした。入社当初から私の人見知りが激しく、同い年だった女子社員2人と親しくなることに失敗した私は、その後会社で気軽に話の出来る人がいない状態のまま過ごしました。私は入社2年目で結婚したのですが、それまでは義理で飲みに誘ったりランチに誘ったりしてくれていた女子社員も私の結婚を機に義理でも誘いに来なくなりました。突然私が電話に出られなくなった時も、理由を聞きに来たり、こちらから相談に行けるような関係でもなく、本当に仕事で用がある時だけの関係で終わったのでした。私はといえば、通勤で会社が近づくに連れ、体調を崩したり、吐き気に襲われたりという日々を送っていたのでした。はっきり言って入社してすぐに会社を辞めたい気分だったのですが、結局ここの会社には6年間勤めたのでした。電話恐怖症の症状を引きずったまま。仕事への責任感だけで過ごした日々でした。

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で、現在。専業主婦になった私ですが、会社から遠のいたことで症状はかなり緩和している状態です。とはいえ、やはり電話に対する苦手意識というか恐怖心はどうしても払拭できず、旦那の実家に電話することがつい最近まで出来なかった次第です(^-^;子供が産まれて、義父母と会う回数が増えて、それでやっと義父母との距離が縮まったことで、電話する時のドキドキ感がほぼ無くなってくれました。電話がかかってきてもほとんど動揺もしなくなりました。基本的に人と話すのが苦手なんでしょうね。またいつか、会社に勤めていたころのような状況に追い込まれた時に再び電話恐怖症を発症するかもしれません。そういうことに対しての不安感は常に抱えて生活している次第です。




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